関数列
各点収束と一様収束
関数列とは共通の定義域をもつ関数からなる列のことである。 つまり、自然数に対して集合上の実数値関数が与えられた時、を上の関数列という。 各関数が同じ種類の関数の場合が重要であり、各が連続関数ならば連続関数列などのように表現する。
関数列の収束として容易に思いつくのが次の各点収束である。
定義 1 (各点収束)
を集合上の関数列とする。 各に対して値の列は実数列だがこれが収束する時、収束先をとおくとはに上各点収束するという。 このとき各点収束先を極限関数といい、と表現することがある。上の関数列の各点収束先は上の関数である。 しかしながら連続関数列が各点収束しても収束先は連続関数とは限らない。
例 2
直線上の連続関数列をに対して
で定義する。 この関数列は
に各点収束するが、これは連続ではない。
関数列の重要な応用例として定積分の列の極限の問題を関数列の収束先の定積分で捉えるという、極限と積分の交換があるがこのままでは極限関数の可積分性も怪しい状況になる。
そこで各点収束に代わる関数列の収束性として一様収束を導入する。
定義 3 (一様収束)
を集合上の関数列とし、を上の関数とする。 ここで実数列がに収束する時、はに上一様収束するという。 つまり、
が成り立つということであり、右辺のを関数の一様収束ノルムあるいは上限ノルムという。
一様収束は各点収束より強い条件であり、一様収束のことを強収束、各点収束のことを弱収束と表現したりする。
関数列においては添え字は自然数であったがこれを実数や平面の点に拡張したものを一般に関数族という。
定義 4 (関数族)
次元空間の点を極限点とする点集合に対して二変数関数をと点に対して定義するとき、をの近くの点に対しての関数を対応させる関数族と呼ぶことにする。
ここで、各ごとにでが収束するとき、収束先をと書いてはでに各点収束するといい、 でとなるとき、はでに一様収束するという。
関数族が一様収束するための十分条件は二変数関数の連続性で表される。
命題 5
は有界閉集合とする。 を上の連続関数とするとき、の極限点でになっているものに対して、 関数族はでに一様収束する。証明
に収束する上の点列を固定する。 各に対して最大値最小値定理よりとなるが存在する。 ここでが収束するときとおくと、
なので、<t_cptfconv> よりが収束しなくてもである。 あとは<t_seqcont> よりでがわかる。
関数列に対して級数をとったものが関数項級数である。
定義 6 (関数項級数)
集合上の関数列に対して級数
のことを関数項級数という。
より詳しくはに対して、第項までの部分和
を取り、関数列を定める。 ここでが各点収束または一様収束するとき、関数項級数は各点収束または一様収束するという。
この定義を見てわかる通り関数項級数の理論は関数列の理論がそのまま適用できるが、さらに特別な取り扱いができる。 また、べき級数
は関数項級数の特殊な場合である。
さらに一変数広義積分も考えられる。
定義 7 (関数項積分)
集合上の関数族に対してはについて連続として広義積分
のことを関数項積分という。
より詳しくはに対して、上の積分
を取り、関数族を定める。 ここでがで各点収束または一様収束するとき、関数項積分は各点収束または一様収束するという。
定理 8 (ワイエルシュトラスのM判定法)
集合に対して以下が成り立つ。
上の関数項級数について、非負数列であって
を満たすものがあるとき、 関数項級数は上一様収束する。
上の関数項積分について、非負連続関数であって
を満たすものがあるとき、 関数項積分は上一様収束する。
証明
級数に対してのみ示す。 まず各に対して、級数は
より絶対収束する。 つまり関数項級数は上各点収束するので収束先をとおくと、
ここで最右辺はによらない数でとすると
なので、は上一様収束することが示された。
例 9
関数項級数は上一様収束する。例 10 (高木関数)
関数項級数
はに注意すれば、上絶対収束しは連続関数である。 その一方では至る所微分不可能であることが知られていて、高木関数と呼ばれる。
一様収束と連続性
いくらかの仮定のもとで連続関数の一様収束極限は連続関数である。
命題 1 (一様収束と連続性)
の全ての点がの極限点となるような集合に対して以下が成り立つ。
- 連続関数の列が関数に上一様収束するとき、は上の連続関数である。
- 連続関数の族がで関数に上一様収束するとき、は上の連続関数である。
- 連続関数の列に対して関数項級数が上一様収束するとき、は上の連続関数である。
- 上の連続関数に対して関数項積分が上一様収束するとき、は上の連続関数である。
また、上記の内容は連続を一様連続に置き換えても成立する。
証明
最初の関数列に対してのみ示す。 任意のと自然数に対して、
が成り立つ。 よって、に対して、十分大きいを一つ取ることでとでき、 そのに対してとなるを取れば、 なるに対してが成り立ち、は連続である。 一様連続も同様。
命題 2 (点列収束)
を全ての点がの極限点となるような集合として、を上の連続関数列、を上の連続関数とする。 ここでがに上一様収束するならば、上の任意の収束する点列に対してが成り立つ。 またを有界閉集合とするとき、逆も成り立つ。証明
が上の連続関数であることに注意して、差を評価すると
よってが成り立つ。
逆については各自然数に対して、は有界閉集合上の連続関数より最大値を達成する点が存在して、
が成り立つ。 ここでは収束するとしてとおくと仮定より
よって<t_cptfconv> より、が従い、一様収束が言えた。
極限と積分の順序交換
関数列や関数族、関数項級数は一様収束の下で積分との順序交換ができる。
定理 1 (極限と積分の交換)
面積確定集合に対して以下が成り立つ。
を上の積分可能な関数の列とする。 ここでがある関数に上一様収束するとき、 も上積分可能で
が成り立つ。
を点の近くの点に対してで積分可能な関数を対応させる関数の族とする。 ここでがで上一様収束するとき、 も上積分可能で
が成り立つ。
を上の積分可能な関数の列とする。 ここで関数項級数が上一様収束するとき、 も上積分可能で
が成り立つ。
最後の関数項級数に対する定理はしばしば項別積分と呼ばれる。
証明
最初の関数列に対してのみ示す。 差を評価すると
よって定理の内容が従う。
極限と微分の順序交換
微分積分学の基本定理より微分と積分はつながっている関係で、極限と積分の交換の内容をもとに極限と微分の交換を示すことができる。
定理 1 (極限と微分の交換)
開区間に対して以下が成り立つ。
を上の級関数の列とする。 ここでがある関数に上一様収束しが収束するような点が存在するとき、 は上各点収束しも上微分可能で
が成り立つ。
を点の近くの点に対してで級関数を対応させる関数の族とする。 ここでがで上一様収束しが収束するような点が存在するとき、 は上各点収束しも上微分可能で
が成り立つ。
を上の級関数の列とする。 ここで関数項級数が上一様収束しが収束するような点が存在するとき、 は上各点収束しも上微分可能で
が成り立つ。
最後の関数項級数に対する定理はしばしば項別微分と呼ばれる。
証明
最初の関数列に対してのみ示す。 を固定する。 微分積分学の基本定理より
仮定よりについての極限で右辺は収束するので、
この両辺を微分して
を得る。
微分と積分の順序交換
微分は極限で定義されるので、極限と積分の交換の内容をもとに微分と積分の交換を示すことができる。
定理 1 (微分と積分の交換)
を面積確定集合、を開区間とする。 上定義された二変数関数が各に対してで積分可能で各に対してについて級でではに一様収束するとする。 このとき、もで積分可能で
が成り立つ。
証明
微分の定義より
なので、でがに一様収束することを示せばよい。 はについて級であることから、微分積分学の基本定理より
なので、
ここでが一様収束するという仮定より度合い関数が存在して
なので、で
よってはに一様収束し、 定理が証明される。